6月22日(土)、Voicecore Reading Poetrium『花羽音』(花羽音24SS)の4公演目として、アフターイベントが東京カルチャーカルチャーにて行われた。
本作は、特定の形に囚われず「声と音と言葉」の新たな表現を探究するプロジェクト。声と音と言葉の断片を1人1人が花束にして持って帰ってもらえたら、というのをコンセプトの1つとして掲げており、花羽音24SSでは、DAY1・DAY2それぞれで内容とセットリストを変えるという挑戦的なライブパフォーマンスを実施。
アフターイベントには、ボイスプレイヤーである安齋由香里、岡田夢以、奥野香耶、相良茉優、鶴野有紗、和久井優ら6名に、Poetrium compserである淡乃晶、北島とわ、の2名が加わり、本番を終えた直後のホットなトークが繰り広げられた。
どこまでも深く考えたくなる反面、ただ浴びていたくもなるようなその心地よい声と音の世界を、彼女たちはどのように理解し表現したのか…。
イベントは、淡乃と北島によって製作者側の視点をもとに進行。『花羽音』の立ち上げから語られ、ファンにとってはさっそく引き込まれるスタートとなった。
元々舞台演出家だった淡乃は、コロナ禍で音声作品(ASMR)の制作に携わり、そこで多才な声優たちと出会ったという。そんな声優たちと何か一緒に創り出せたらと朗読劇の制作を思い立ち、本作の企画・製作であるILLUMINUSとも出会い話を進める中で、“新しい朗読劇に”という流れが生じ、「セットリスト形式で可変する朗読劇」を淡乃が考案。
通常の短編よりもさらに短いお話を作成し、それらを入れ替えても成立するような構想で、2022年の秋ごろには設定なども作られ始めていたという。構想をふくらませる中で「音と密接に関わらないと成立しない」と判断したことから、サウンドアーティストの北島が本格的に加わり、最終的に通常の朗読劇とは一風変わった現在の『花羽音』の形が出来上がった。
ボイスプレイヤーからは、23年版に比べ、「今作は救われた部分も多く軽やかに感じた」いう感想が多く挙がったが、それもそのはず、淡乃曰く今回のテーマは「風」。新たなメンバーの参加や上演の季節(DAY1は夏至であったの)も相まって、前作より風通しの良い仕上がりとなったようだ。
「声や音が見える」という北島の感覚の話から、話題は本編にもまつわるボイスプレイヤー6名のエレメントの話へ。星座に由来する4つのエレメント(火:鶴野・相良、風:和久井、土:安齋・岡田、水:奥野)は、それぞれの声の性質や世界観をよく反映していたようで、探り探りだった収録時の思い出からお互いの好きなセリフまで盛り上がりを見せた。
淡乃と北島は、2人で試し読みをした際におもしろみを感じられず、改めてボイスプレイヤーたちの持つ声の力やそこに持ち込まれたものによって今作が成り立っていることを実感したという。
そんな中、和久井からは「お芝居が半分、ニュートラルな読みが半分、というオーダーを皆はどんな気持ちで紡いでいたのか」という質問が。和久井自身は理性的に考えているところも多かったというが、それは皆同様のようで、安齋はDAY1終盤の『いつか愛しむ、幾つもの私へ(ソロ)』では「“音はめ”をしながら読んでいた」と告白。鶴野からもDAY2の『夜のポエム』では 「音楽の裏打ちをしながら読んでほしいと言われたのが大変だった」との答えが挙がり、音楽と朗読の織り成す『花羽音』独特の世界観の難しさが明かされた。
個性が出たソロシーンも見所の1つである今作だが、岡田はソロに関して「感情がこもりすぎないよう、自分のことを楽器だと思って読んでいた」と意外なコメント。ひときわ強いシーンを担当した相良は「(感情を)ぶつけていいよと言われていたので思いっきりぶつけていたが、楽しい音楽に対して文字面は強く、感情と実際に発する声にギャップを感じて自分でも不思議だった」という。奥野は「公演によってそのとき抱く気持ちが異なり、台本を捨てるタイミングなどが気持ちに任せて変わっていた」と、ライブらしい感想をこぼした。
音楽、照明、芝居のすべてがライブスタイルでセッション感あふれた今作では、実は回によって様々なトラブルがあったことも明かされる。冷房によって台本が飛んでいってしまいプレイヤー同士で見せあったこと、使用する小道具が捨てられた台本に埋もれてしまい見つからなくてセリフを見送ったことなど、観客もびっくりするほどのエピソードの数々に、淡乃からはプレイヤーの対応力の高さに関して賞賛(しょうさん)が送られた。
ほかにも、本だけでなく石や草に書かれたものを読むという行為や、北島がかつてポエトリーリーディングの現場で触れてきた「紙捨てスタイル」の導入など、プレイヤー自身も様々な考察を巡らせていたパフォーマンスに関して答えの一部のようなものがPoetrium compserの2人からは語られたが、「1人1人の受け取るものが答えである」というこの『花羽音』において、はっきりとはわからないけれど各々が何か感じざるをえないこの状態がうつくしいと、その独特な魅力を時間が許す限り話し合っていた。
予測不可能に広がりながらも『花羽音』をしっかり掘り下げたトークの後には、サプライズでボイスプレイヤー6名によるライブパフォーマンスも披露され、イベントは大盛況の中で幕を閉じた。
取材・文・撮影:今田夏見
Voicecore Reading Poetrium
『花羽音』(花羽音24SS)
Poetrium composer:淡乃晶 北島とわ Schedule:6月21日(Fri)~22日(Sat)
Place:東京カルチャーカルチャー Produced by:ILLUMINUS
◎DAY1(6/21)セットリスト
voice player:安齋由香里、岡田夢以、奥野香耶、和久井優
想像の花束 remix
Minimal element
耳に咲いた輪郭 / いつか愛しむ、幾つもの私へ
tree angel
バース・デス・プレイ
とこしえ
会話の花束
シージの花束S
ユンスル
ヴェルキの花束S
華の泳ぎ 夢のあと(しりとり)
背中合わせの夢
退化で未満な、感情回路 ~サウンドポエトリウム
フィーネの花束
コンテンポラリーパート・ブリッジ~カードシャッフル
moonドルフィンズ 動物の言葉
生存確認パート
夜のポエム
トーニャの花束S
ADENIUM(アデニウム)
sigh of water
素(シラ)をほどく
いつか愛しむ、幾つもの私へ(ソロ)
想像の花束 remix(ぼそぼそ)
i,ou
夏至・呼吸
◎DAY2(6/22)セットリスト
voice player:岡田夢以、奥野香耶、相良茉優、鶴野有紗、和久井優
想像の花束 remix
Minimal element
耳に咲いた輪郭 / いつか愛しむ、幾つもの私へ
tree angel
花・水・小さな火
声の灯り ~ サウンドポエトリウム
会話の花束
ラウラの花束
シージの花束S
ユンスル
退化で未満な、感情回路
明滅
バースデスプレイS
QuartZ
背中合わせの夢
サリィの花束S
ヴェルキの花束S
華の泳ぎ 夢のあと(しりとり)
コンテンポラリーパート・ブリッジ~カードシャッフル
moonドルフィンズ 動物の言葉
生存確認パート
夜のポエム
トーニャの花束S
ADENIUM (アデニウム)
素(シラ)をほどく
とこしえ
想像の花束 remix(ぼそぼそ)
i,ou
夏至・呼吸
今夏、音源リリースに向けリリイベの開催も決定しました!
【イントロダクション】
今年2024年6月に新作が上演された
Voicecore Reading Poetrium『花羽音』(花羽音24SS)の
live recを使用し再構築した音源集(album)が今夏リリースされます。
それを記念して花羽音の世界をテーマにした
「声と音と言葉」で編まれた空間のプレイを1夜限定で行います。
【voicecoreの新たな空間 / 響きの織物を纏う】
日常と少し違う五感の使い方で 音と声に 寄り添う
voice playerが吹き込んで残した声音 を 肌で視る
声と音が交差し 空間に溶け 通り過ぎていく
お話や意味をほどき 声は音に出会い直し
そして私たちは 声そのものの肌理に出会い直す
身体は存在しない。でも、存在は声となって表れる。
吹き抜ける風と浴びる響きとささやきに沈み込む時間。
声と音と言葉の断片たちが実時間を離れて、
タイムラインの水流から外れて、空間に浮遊する。
いつか愛しむ、いくつもの私たち
【概要】
本番も行われた渋谷・東京カルチャーカルチャーの空間にて
サウンドアーティスト「北島とわ」による音と声のプレイが行われます。
(空間には花羽音の資料・衣装なども展示予定)
花羽音はライブパフォーマンス、ビジュアルポエトリーブック、音源集(album)など
表現の形に囚われず多面的に展開することを志しており、
これもまた一つのPoetrium(詩/poetryが浮遊する空間)として
花羽音の世界を拡張していく試みとなります。
催しのクロージングトークには
element voice fragments /ヴェルキ役の和久井優さん
element voice fragments /トーニャ役の奥野香耶さん
element voice fragments /ラウラ役の鶴野有紗さん
をお迎えします。
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【タイトル】
「浮遊する声、浮遊する音、浮遊する言葉たち」
(Voicecore Reading Poetrium 花羽音より)
【コーディネーター】
北島とわ、淡乃晶(Poetrium composer)
【会場】
渋谷・東京カルチャーカルチャー
【日時】
2024年8月14日(水)
【タイムスケジュール】
《Poetrium time》
17時〜20時
※Open:17時/Close:20時
※入場無料+1drink
※会場にてドリンク代(ソフトドリンク600円、アルコール700円)が別途かかります
※入退場自由
《クロージングトーク》
ゲスト:和久井優 奥野香耶 鶴野有紗
MC:淡乃晶
開場:20時15分
開演:20時30分
チケットのお申し込みが必要になります
【チケット】
《Poetrium time》・・・申込不要
《クロージングトーク》・・・3,500円 + 1drink
※チケットはページ下部よりお買い求めください。
https://t.livepocket.jp/e/iicwh
※会場にてドリンク代(ソフトドリンク600円、アルコール700円)が別途かかります
企画・製作:ILLUMINUS
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