華やかさと棘ーまるで薔薇の花のような”王ステ”シリーズは、エピソードが独立しているため、１作ずつでも楽しめるが、
シリーズを通して観るとより楽しめる作品群となっている。
無料配信に向けて、作品をざっとだけ紹介しよう。

第１弾：「黒の王」
時は15世紀。
大国オスマン帝国とハンガリー王国に挟まれた小国ワラキアは、
強大な軍事力を背景に拡大を続けるオスマン帝国に臣従を余儀なくされる。
ワラキア公は2人の息子、ヴラド3世とその弟ラドゥを人質として差し出さざるを得なかった。
『いつかきっと父が迎えに来てくれる』
オスマン帝国の施しで育つ兄弟は、のちのオスマン帝国皇帝・メフメト2世と出会う。
ラドゥはメフメトとの交流を深める一方で、ヴラドは決して仇敵に心を許すことはない。
月日は流れ、ヴラドを迎えに来たのは父ではなくヴィンツェルという男だった。
「これからわたしはあなたに仕え、こうお呼びしましょう。マリアタ」

ヴラドとヴィンツェルの出会い、全ての始まりの物語！
シリーズの核であり、王ステ要素が詰まった作品。

第２弾：「星屑の王」
時は15世紀末。ルネッサンス期。
神に見放され、永遠の命に呪われたヴラド、その従者ヴィンツェル。
闇夜に生きる彼らの前に現れたのは、小国に分裂したイタリア統一という野望を抱くチェーザレ・ボルジアだった。
枢機卿を父に持ちながら、庶子-神に認められなかった子-として生まれた彼は、大いなる力と同時に立ちはだかる壁を感じていた。
その頃、画家レオナルドは教会の真理「天動説」に違和感を抱き、別の説を考え始める。
神に認められなかった男たちの運命が動き出した時、
天の星に手が届くのは、誰かー。

闇を生きるヴラドとヴィンツェルがチェーザレやレオナルド・ダヴィンチと出会い、やがて歴史の奔流をも動かしてゆく。
チェーザレの人生と神、星と歴史。
散らばっていたピースが最後に収束してゆく爽快感が楽しめる作品。

第３弾：「屍の王」
時は16世紀。
永遠の命に呪われたヴラド、その従者ヴィンツェル。
闇夜に生きる彼らの前に現れたのは、オラニエ公ウィレム１世。
ウィレムが暮らすスペイン領地ネーデルラントは、スペイン国王フェリペ２世による重税とカトリック信仰の強制により苦難の最中にあった。
指導者となったウィレムは、スペインからのネーデルラント独立を宣言し、戦争を起こす。
それが80年にも及ぶ戦争の始まりとは知らずに。
その行く末に、望んだ結末は待っているのかー

オランダのカラーといえば、オレンジ。それはオラニエ公ウィレムの活躍によるもの。
「戦え。今を生きて、死して永遠となれ」
ヴラドとヴィンツェルの旅ーその1stシーズンの終わりとなる作品であり、
シリーズの中でも傑作と名高い作品。

第４弾：「黎明の王」
17世紀、疫病が流行するセルビア。
城下町では「一度死亡した者が不死者として蘇る」という噂が民に不安を与えていた。
ヴァンパイア研究に生涯を捧げるジェリコは調査に来るが、相棒がいつのまにか忽然と消えてしまう。
城に住む謎の伯爵が関係していると確信したジェリコは城へと出かけるがー
薔薇の庭園に囲まれた城を舞台に新たな惨劇の幕が上がる。

2ndシーズンの始まりとなった第４弾。
シリーズの中でも幾重にも折笠なった謎や推理要素が多く、ジェリコたちと共に深い山中へと迷い込めるような作品。
女性キャスト版の“女王ステ”シリーズの始まり「赤の女王」まで、ついに歴史が繋がった作品でもあり、「赤の女王」を意識した演出が多く取り入れられている。
黎明が近づく時、そこには残酷な真実が待ち受けている。
シリーズ中でも屈指の人気を誇る作品。