24.4.29第三限は「魔術」

待ちのぞむ

瀬良藤吾が解説する「イリス・ノワール」の世界 第三限は「魔術」

ILLUMINUSが送る、新たなるオリジナルガールズ演劇。
少女たちと邪神が織り成すダークマジックファンタジー「イリス・ノワール」の世界へようこそ。
ここでお話しするのは、イリス・ノワールシリーズの様々な要素について。

初めてイリス・ノワールの世界に踏み入る方には予習として。再び足を踏み入れた方には復習として。様々な専門用語飛び交うこの世界について、少しばかり解説させていただきます。

 

 第三回目の本日の議題は「魔術」

イリスたちがエウラリア黒魔術学院で学び、扱い、局面とする魔術。
それは原始宗教から発生した考え方や、日常的な現象への解釈、自然・人為的を問わず発生した事象に対するアプローチから生まれたものである。

 

 現代では文化人類学者ジェームズ・フレイザーが定義した、人類学における魔術・呪術の性質として認識されている、感染魔術・類感魔術という考え方がある。
何かしらの接触を行ったものは、接触したものに影響を与えるという考えの感染魔術。
似通ったもの同士は互いに影響し合い、同じ結果を生み出すという考えの類感魔術。
魔術において重要なのは照応。触れ合ったもの、似通ったものが他のものに影響を与えることで、奇跡と呼ばれるものが起きると考えられている。

 

 エウラリア黒魔術学院で行われた魔術の中で、特に多用されているのは光源の魔術。

①『光ありて影ありき、影ありて夜ありき』光源から光を奪う暗闇の魔術。
②『影にありて光は輝く。影あるはすなわち光あり』杖から光源を作り出し照らす魔術。

この二つの呪文は、

①光があるということは影ができ、影ができている部分は暗い夜のようであるということを定義して、周りから光を奪う。
②周囲が暗く、影のようになっているということから、どこかに光源があるということを定義して光を作り出す。

両方ともが、光が何かを照らすことで影ができるという事象から作られた魔術であることに変わりはないが、その定義の順番を逆にすることで、光を作ったり奪ったりできる。

 

 何かに似せる、寄せることで結果を生み出すという点では、神話や伝説、聖書のような力ある文章を使って結果を生み出すこともできる。長い年月、多くの人々によって伝え続けられてきた出来事や言葉というのは、それだけですでに力を持った魔術である。

 

 魔術は自らの内からあふれる力で、人や世界に対して干渉するものである。ならば、それは自らの生まれや性質、素質、適正に大きく左右される。
ただし、邪神たちが扱う魔術は、その範疇に収まらない。それは神々が放つ言葉、しぐさ、視線さえも世界に影響を及ぼす『力』そのものであるから。そこに考えや願いを放つための杖は必要とせず、ただそう振舞うだけで世界が従うのである。

 

 それでは、今日はこのあたりで。
またより深いイリス・ノワールの世界でお会いしましょう。

 

TEXT 瀬良藤吾

 

この記事をシェアする